グルーヴ四原則 とは
この書では全編を通して4つのグルーヴする原則の存在を説明します。この4つの原則とは何でしょうか。まずこのグルーヴ四原則の全体像を見てみます。
グルーヴ四原則
グルーヴには四つの対立要素があります。
- A 強拍先行 と B 弱拍先行
- A 頭合わせ と B 尻合わせ
- A 強拍基軸 と B 弱拍基軸
- A 2⁻ⁿリズム と B 3⁻ⁿリズム
これを
そしてこれらはそれぞれ音韻学上での以下の要素と対応しています。
- A: 頭子音最小化原則 と B: 頭子音最大化原則
- A: 文頭焦点 と B: 文末焦点
- A: モーラ等時性 と B: 音節核等時性
- A: 末子音忌避性 と B: 末子音侵襲性
更に、これらの背後に Pセンター(p-center) という隠れた概念が存在します。これをPセンターを軸に整理することが出来ます。
左側Aの
- 強拍先行 頭子音最小化原則
- 頭合わせ 文頭焦点
- 強拍基軸 モーラ等時性
- 2⁻ⁿリズム 末子音忌避性
を
縦乗りは、グルーヴと全く正反対の性質を持っています。 縦乗りはグルーヴとは真逆の静寂・安定感・固定・硬質・静止などの情景を表します。 この性質を
右側Bの
- 弱拍先行 頭子音最大化原則
- 尻合わせ 文末焦点
- 弱拍基軸 音節核等時性
- 3⁻ⁿリズム 末子音侵襲性
を
横乗りは、躍動感・不安定感・柔軟性・動的などの情景を表します。この性質を
横乗りの四条件
音楽にグルーヴを感じる時、
- 弱拍先行
- 尻合わせ
- 弱拍基軸
- 3⁻ⁿリズム
の4つの条件の全て又は一部を満たしているという法則があります。
これを
つまり如何にして、弱拍先行、尻合わせ、弱拍基軸、3⁻ⁿリズムの4つを体得するかがグルーヴを身につける為の焦点となります。
縦乗りの四条件
これらの日本的リズムはしばしば
- 強拍先行
- 頭合わせ
- 強拍基軸
- 2⁻ⁿリズム
の全てまたは一部を満たしているという法則があります。
これを
何故日本人は縦乗りなのか、その理由に関しましては何故日本人は縦乗りなのかで詳細を見ていきます。
ではどのようにしたら縦乗りを克服することが出来るのでしょうか。それがこの文章の目的でもあります。縦乗りを克服する長い道のり=リズム道 について今後長い時間を掛けて見つけ出して行きます。
強拍先行と弱拍先行
音符が導音などの形となって2つの組となって表れた時、その組みが常に弱拍からはじまることを弱拍先行と呼びます。
音符が導音などの形となって2つの組となって表れた時、その組みが常に強拍からはじまることを強拍先行と呼びます。
或いは、音符が2つの組みとならず単独で表れた時も 強拍先行 と呼びます。
日本人は弱拍先行で構成されたのリズムを耳にすると、それが理解できず混乱するという特徴があります。このことを縦乗りと呼びます。 日本人が何故縦乗りになるのかに関しましては、何故日本人は縦乗りなのか で詳細を見ていきます。
強拍先行と弱拍先行 とは何かに関しましては、強拍が先か弱拍が先かで詳細を見ていきます。
強拍先行と弱拍先行は、グルーヴの本質に関わっています。立体的に響くグルーヴの本質はリズムの多次元性にあります。弱拍が先行するリズムでは異なる音価が高さという新しい軸としての役割を持つため多次元構造を持ちます。しかし強拍が先行するリズムでは、全てのリズムが重なり合ってしまうため異なる音価が新しい軸を生み出さず、結果としてリズムが多次元構造を持ちません。多次元構造をもたないリズムは平面的な印象のリズムになります。
このリズムの多次元性に関しましては、多層弱拍基軸律動で詳細を見ていきます。
そして何故 強拍先行と弱拍先行 が起こるのかに関しましては、多層弱拍基軸律動で詳細を見ていきます。
頭合わせと尻合わせ
メロディーが必ず小節内の特定の拍数目(≒1拍目)から始まり、はっきりした終わりがないリズム構成を頭合わせといいます。
メロディーが特にはっきりした特定の位置がなく不定期に始まり、必ず小節内の特定の拍数目(≒1拍目)ではっきりと終わるリズム構成を尻合わせといいます。
日本人は尻合わせ構成のリズムを耳にすると、それが理解できず混乱するという特徴があります。このことを縦乗りと呼びます。 日本人が何故縦乗りになるのかに関しましては、何故日本人は縦乗りなのか で詳細を見ていきます。
頭合わせと尻合わせ とは何か。そして何故 頭合わせと尻合わせが起こるのかに関しましては、多層弱拍基軸律動で詳細を見ていきます。
強拍基軸と弱拍基軸
スイングやシャッフルを演奏しようとした時に、強拍の位置が常に固定となり、毎回同じ位置に表れ、弱拍の位置を強拍からの相対距離として測りながら移動することでスイング・シャッフルのニュアンスを表現しようとする時、これを強拍基軸と呼びます。
強拍基軸は、一瞥すると当然と考えられるかも知れません。しかし実際の海外の演奏者は逆の認識を持ってリズムを演奏しています。
スイングやシャッフルを演奏しようとした時に、弱拍の位置が常に固定となり、毎回同じ位置に表れ、強拍の位置を弱拍からの相対距離として測りながら移動することでスイング・シャッフルのニュアンスを表現しようとする時、これを弱拍基軸と呼びます。
強拍基軸リズム認識を持っている人が、弱拍基軸を見た時にそれを異端として排除したり、社会的な制裁を加えたりすることを、弱拍天動説 と呼びます。
リズムを客観的に捉え弱拍基軸のリズム認識を理解した上で合理的に受け入れることを強拍地動説と呼びます。
強拍基軸 と 弱拍基軸 に関しては、弱拍天動説と強拍地動説 で詳細を見ていきます。
2⁻ⁿリズムと3⁻ⁿリズム
スイングやシャッフルなどの3連符系のリズムを演奏する時だけでなく、8ビート16ビートなどのリズムを演奏する時も含めて、3拍子や3を基準にしたポリリズムを多用したり、リズムのずれニュアンスが必ず1/3 、1/9 、 1/27 などの 3の負のべき乗の大きさに収束するなど、リズム感覚が3に根ざしている人のリズムを 3⁻ⁿリズムと呼びます。
───この 3⁻ⁿリズム がアフリカのリズムやケルト・ゲール等々の欧米のフォークソングの本質に存在します。
スイングやシャッフルなどの3連符系のリズムを演奏する時だけでなく、8ビート16ビートなどのリズムを演奏する時も含めて、常に2のリズムに根ざし、3拍子や3を基準にしたポリリズムを多様せず、リズムのずれニュアンスが必ず1/4 、1/8 、 1/16 などの 2の負のべき乗の大きさに収束するなど、リズム感覚が2に根ざしている人のリズムを 2⁻ⁿリズムと呼びます。
───この 2⁻ⁿリズム は日本のゲームミュージックやアニメソング等々日本のあらゆる西洋音楽の影響を受けた音楽全ての本質に存在します。
3⁻ⁿリズム とはどんな音かにつきましては、世界は3⁻ⁿ拍子で出来ている でそれを実際に聴いてみます。
3⁻ⁿリズム と 2⁻ⁿリズム につきましては、3⁻ⁿグルーヴと2⁻ⁿグルーヴ で理論的な詳細を見ていきます
2⁻ⁿリズム とはどんな音かにつきましては、何故日本人は縦乗りなのか でいくつかのサンプルを用意しております。
頭子音最小化原則 と 頭子音最大化原則
頭子音最小化原則とは、末子音や多重子音を一つの頭子音群にまとめず、それぞれを独立したモーラとして後方へ配置する傾向を指します。これはモーラ拍リズムに見られる特徴であり、本書では、先に知覚された強拍へ後続要素を追加する強拍先行に対応すると考えます。
これに対して頭子音最大化原則とは、その言語の音節構造が許す範囲で、音節間の子音を次の音節の頭子音としてまとめる原則です。頭子音が音節核に先行するため、本書では、弱拍が次の強拍を予告する弱拍先行に対応すると考えます。
文頭焦点 と 文末焦点
ここでいう文頭焦点と文末焦点は、文法上の情報焦点ではなく、発話を時間的にまとめる時に、始点と終点のどちらを基準とするかを表す本書独自の用語です。
文頭焦点では、発話の始点を確定した後、その後方へ要素を順次追加します。この時間認識を音楽へ投影したものが、開始位置を揃えて終わりを固定しない頭合わせです。
文末焦点では、これから到達する発話の終点を予期し、そこへ向かって先行要素を配置します。この時間認識を音楽へ投影したものが、開始位置よりも終了位置を揃える尻合わせです。
モーラ等時性 と 音節核等時性
ここでいう等時性は、全ての音が物理的に完全に同じ長さになることではなく、一定の発音単位が知覚上の時間基準として反復する傾向を指します。
モーラ等時性では、モーラが時間を数える基本単位となり、それぞれのモーラの開始位置が時間認識の基準となります。本書では、この認識を、強拍の位置を固定して弱拍を調整する強拍基軸に対応させます。
音節核等時性では、頭子音に続く音節核またはPセンターの位置を予測しながら発音を構成します。本書では、この予測を音楽へ投影すると、先行する弱拍を基準として強拍の位置を調整する弱拍基軸になると仮定します。
末子音忌避性 と 末子音侵襲性
末子音忌避性とは、音節末に置ける子音を強く制限し、母音の挿入や独立したモーラへの分割によって末子音を避ける傾向です。
これに対して末子音侵襲性とは、音節核の後に末子音を保持し、その末子音が次の音節との境界を越えて発音とリズムの構成に影響する性質を指す、本書独自の用語です。
本書では、末子音を独立単位へ分解する認識を2⁻ⁿリズムに、音節境界を越えて前後の単位を結び付ける認識を3⁻ⁿリズムに対応させます。この対応は本書の理論的仮説であり、後の節で具体例を用いて検討します。
目次
- オフビートカウント理論
- はじめに
グルーヴ四原則 とは- 何故日本人は縦乗りなのか
強拍が先か弱拍が先か - 音韻学的音楽分析
- 日本人への手紙
分裂拍 と孤立拍 韻律 とは多層弱拍基軸律動 - 多次元ディヴィジョン空間
- 発音よりもリズムの正確さ
- 世界は3⁻ⁿ拍子で出来ている
- 3⁻ⁿグルーヴと2⁻ⁿグルーヴ
- 分散グルーヴ理論
- 弱拍天動説と強拍地動説
- オフビートカウント入門
- リズム認識型とリズム感
- オフビートカウントで英語リスニングを極める
- 日本人の為のエチュード
- 英語の正しい発音法
- オフビートカウントの正しい発音
- 多層弱拍先行ポリリズム
- リズムニュアンスを形づくる要素
- 縦乗りが起こるメカニズム
- 縦乗りと動きの認識
- 縦乗りがもたらす心理的問題
- リズム道入門の御案内
- リズム道とは